人気ラーメン店、麺屋武蔵の20周年記念企画『金乃武蔵』。各店舗持ち回りで月1回、1年かけて特別なラーメンが提供されます。第11弾は、揚げ物をのせる池袋・二天(にてん)の「薬膳ら~麺」(2,000円)です。
テーマはそのまんま「効く」。漢方・薬膳を取り扱う会社の協力を得て、冬虫夏草などの“体に効く”ものとスッポンを組み合わせているのだとか。
◆五臓六腑に染みわたるスープ
今回の最大のポイントは、なんといってもスープでしょう。ベースはスッポン丸ごと1匹からとった“スッポンスープ”。これに、冬虫夏草、鹿角霊芝、朝鮮人参、クコの実、蓮の実、ナツメ、丁子、竜眼、桂皮を入れ、鍋ごとじっくり蒸し上げてあります。
この時点ではまだ澄んでいるのですが、ミキサーにかけて“乳化”させ、白濁したスープに。口あたりがまろやかになるのだそうです。
飲んでみると、鶏だしに複雑なうまみが加わったような、あっさりだけどコクのある味わい。香りには確かに漢方らしさがあるのですが、思ったほど強烈ではありません。むしろコクがぐっと攻めてくる! これがスッポンのうまみなのだそうです。冬虫夏草を練りこんだ特製麺とも相性抜群。
そしてこのスープ、冷めてからがうまい。全く引っかかりなく、すっと体になじむのです。スッポンのうまみとコラーゲンがこれでもか!と溶けこんだスープ、残さず飲みきって。
◆スッポン団子がめちゃうま
トッピングの主役はスッポン。身を丸めて揚げた“スッポン団子”とエンペラの湯引きが、ネギやクコの実とともにのせてあります。スッポン鍋を食べたことのある人は多いでしょう。でも、から揚げってなかなか無いのでは。
食べてみると、めちゃくちゃうまい。いかにもコラーゲン!なコリコリや、歯ごたえのある肉、なんともいえないおいしさ。鶏肉とは違ったジューシーさもありました。スープにひたった部分もまたイイ。これをつまみにお酒を飲みたくなります。
実はこのスッポン団子をつくるのが一番大変だとか。スッポンには細かい骨がたくさんあるため、身だけを外すのに時間がかかるのだそうです。ちなみに、1杯分の団子におよそ1匹分の身が使われており、スープの分もあわせると、ラーメン1杯あたり1.5~2匹分ものスッポンを使っているのだとか。なんてぜいたくな!
一方エンペラは、くにゅっ、もちっとした食感が面白い。見た目はちょっとアレだけど、ヤミツキになるうまさでした。
◆でも、一番印象的だったのは…
スープもトッピングもおいしかったのですが…。強烈なヤツが待機していました。冬虫夏草です。漢方界(?)ではメジャーな冬虫夏草ですが、名前は聞いたことがあっても、ホンモノ(しかも粉末ではなく本体)を知っている人は少ないのではないでしょうか。薬膳ら~麺には、本来の姿の冬虫夏草もトッピングされています。
日本で多く流通している“サナギダケ冬虫夏草”といわれるもので、黒いサナギの部分まで食べられる機会はそう無いといいます。
何気なくぽいっと口に放り込んだところ…無言で身悶えるハメに。香りがそのまんま強烈な味として襲い来るのです。なんだかよく分からないけど、ものすごく効きそう。おいしいかと聞かれたら返事に困るけど、せっかくの機会なので勇気のある人は試してみて。
◆じんわり、ぽかぽか
食後には“薬膳茶”を。カモミールが強めですっきりさわやか。口の中をさっぱりさせてくれます。このあと、1日中内臓あたりがじんわりと温かく、ぽかぽかとしていました。きょう(11月24日)みたいにめちゃくちゃ寒い日にこそ食べたい1杯です。
それにしても、スッポンっておいしい。みんながスッポン鍋を食べたがる気持ちが分かりました。食べてみたい!…と思ってスッポン料理店のメニュー価格を調べたけれど、そっとウインドウを閉じました。
◆店長は元格闘家
二天の店長さんは元格闘家なのだそうです。当時から健康には気遣っており、食欲の秋、食べすぎて弱った体を元気にできるものを…と、薬膳×スッポンを考案したのだとか。提供は11月27日まで。価格は2,000円、1日10杯限定です。1年かけて提供されてきた『金乃武蔵』もいよいよあと1回となりました。大トリを飾るのは、上野の武骨相傳。どんな1杯が登場するのでしょうか。楽しみにしています!