人気クラフトビールメーカー、ヤッホーブルーイングの公式レストランが、赤坂神田に次ぎ、10月、青山にオープンした。従来の「よなよなBEER KITCHEN(ビアキッチン)」から名前を変え、「YONA YONA BEER WORKS(よなよなビアワークス)」として営業している。このレストランには、「よなよなエール」をはじめとする同社製クラフトビールが常時10種類以上そろっている。また青山店(東京・表参道)には「オリジナルソーセージ」が11種類と充実しており、それぞれに合うビールも提案してもらえるらしい。

クラフトビールを扱う飲食店は増えたが、ソーセージを10種類以上(しかもオリジナルだ)そろえる店はなかなかないように思う。実際、組み合わせを変えることで、双方の味わいはどう変わるのだろうか。青山店を訪れた筆者は、スタッフに教えてもらった3つの組み合わせを試してみたので、ランキング形式でご紹介する。そこには、恐ろしいほどの快感が待っていた。


この3種に合うビールを出してもらうぞ!
この3種に合うビールを出してもらうぞ!

【3位】柚子胡椒×軽井沢高原ビール ワイルドフォレスト

まずは、ソーセージ「柚子胡椒」と「軽井沢高原ビール ワイルドフォレスト」の組み合わせ。オーソドックスだが、何度でもおかわりしたくなる味だった。

ソーセージ「柚子胡椒」×軽井沢高原ビール ワイルドフォレスト
ソーセージ「柚子胡椒」×軽井沢高原ビール ワイルドフォレスト

ワイルドフォレストは、苦味が少なく、ほんのりとフルーティーな香りも楽しめる。同社のビールのなかでもとても飲みやすく、どの料理とも合わせやすいそうだ。そんな“万能選手”にイチオシのソーセージは柚子胡椒なのだそう。

柚子胡椒のピリッとした刺激をビールが優しく包み込んでくれる。また案外繊細な柚子胡椒の香りをビールが邪魔しないため、ソーセージがより引き立てられる組み合わせだった。なおこのソーセージ、個人的には、ガッツリ苦みのきいたIPA「インドの青鬼」ともよく合うと思う。

【2位】パクチーとレモン×水曜日のネコ

2位は、ソーセージ「パクチーとレモン」と、ホワイトエール「水曜日のネコ」。素材の共鳴が絶妙な奥深さをかもし出す。

ソーセージ「パクチーとレモン」×水曜日のネコ
ソーセージ「パクチーとレモン」×水曜日のネコ

水曜日のネコは、フルーティーな香りと爽やかな飲み口が特徴。副原料としてコリアンダー(パクチー)シードとオレンジピールが入っている。一方、ソーセージにもメニュー名のとおり、パクチーとレモンが入っている。“パクチーと柑橘”、とてもよく似た素材が使われた1組だ。

爽やかなビールがソーセージの脂を流してさっぱりとさせてくれるうえ、後に残るハーブの清涼感がなんともいえない。さまざまな素材が見事にマッチしたマリアージュだった。

【1位】牛肉薫製×ハレの日仙人

ソーセージ「牛肉薫製」と「ハレの日仙人」は、文句なしの1位。一口めに身体を貫いた強烈な快感が忘れられない

ソーセージ「牛肉薫製」×ハレの日仙人
ソーセージ「牛肉薫製」×ハレの日仙人

ハレの日仙人は、タンクで半年~1年ほど熟成させた、長期熟成ビール。ねかせることによって口あたりがまろやかになり、コク、苦み、甘み、すべてがガッツリと濃くなる。のどごしやシュワシュワとした泡を楽しむのとは全く別の次元にあるビールだ。

牛肉薫製には、ソーセージらしいジューシーさではなく、まさに薫製をぐっと凝縮したような固さがある。薫香はそこまで強くなく、噛んでいるうちに、うまみと香りがじんわりと口の中に広がっていく。この残り香があるうちにハレの日仙人をそっと含む。全身を駆け巡るのは、紛れもない快感。あるべきものがあるべきところにぴたりと収まったような、達成感にも近い気持ちよさをもたらしてくれる。

ソーセージのおだやかな薫香が、ハレの日仙人のまろい香りを引き立てる。ハレの日仙人のコクが、肉のうまみをとことん引き出す。こんなによくできた組み合わせがあるのか!ビールとソーセージなのに、バーでウイスキーとナッツを嗜むような感覚を味わえたひとときだった。

うまみとコクの相乗効果がハンパない
うまみとコクの相乗効果がハンパない

それぞれ、別の組み合わせでも試してみたところ、合わないわけではないのだが、しっくりこないものが多かった。一度覚えてしまった快感を忘れられなかったのだろうか…なんとも恐ろしい! 次から、もうこの組み合わせでしか食べられないかもしれない。

インドの青鬼には専用グラスが。飲み比べも楽しんで
インドの青鬼には専用グラスが。飲み比べも楽しんで

とはいえ、これだけ豊富にそろっているのだから、挑戦しないのはもったいない。さまざまな組み合わせを試し、お気に入りの1組を見つけてみてはいかがだろうか。まるでソーセージ専門店かと見紛うようなラインナップ、開発する余地がまだまだありそうだ。