そんな紅茶界サードウェーブの一角を担うのが、高円寺の紅茶専門店「Gclef(ジークレフ)」。開店10周年を迎え、カフェスペースで記念のデザートメニューを提供しています。「美味しい紅茶とスイーツ」という、何番目の波よりも大きく私たちの心をさらうビッグウェーブを、さっそく体験してきました!
■高円寺 Gclef へやってきました
高円寺駅北口を出て、正面やや左手にある純情商店街に入ります。
商店街を進むと、3分ほどで Gclef を発見。シックな緑色の外壁に、赤いテントが目印です。
店内には、直接農園から買いつけた赤いパッケージの紅茶がずらりと並んでいます。そのほか中国茶や台湾茶や日本茶、種類豊富なジャム、マグカップや茶器なども。BGM は店名 「Gclef(ト音記号)」の名にふさわしい落ち着いたクラシック。しかし堅苦しい雰囲気はなく、店員さんもフレンドリーにお客さんと接しています。
紅茶やデザートなどがいただけるカフェスペースは売り場の奥にあります。
■10周年記念メニュー
お目当ての開店10周年記念メニューは「紅茶づくしのデザートプレート」。3つのデザートが盛り合わせられたプレートに、好きな紅茶を選んで1,570円というセット。今回選んだ紅茶は、「旬摘みいちごのロイヤルミルクティ」。追加料金220円で注文できます。「紅茶づくしのデザートプレート」は3月27日、「旬摘みいちごのロイヤルミルクティ」は4月10日までの期間限定メニュー。
◆旬摘みいちごのロイヤルミルクティ
紅茶はポットで提供され、店員さんが目の前でカップに注いでくれます。「旬摘みいちごのロイヤルミルクティ」は、春の紅茶ニルギリとフレッシュないちごのロイヤルミルクティ。いちごソース入りの生クリームがついてきます。まずは注いでもらったそのままで。
ほんのりピンクかがった春らしい優しい色のミルクティから、紅茶の甘い香りがたちのぼってきます。いちごはふわりと香るくらいで、あくまで紅茶の香りがメイン。口にすると、やわらかな甘みが広がります。名称から強い甘味や濃厚さをイメージしていましたが、これならデザートにも合いそう。
2杯目には生クリームをイン。時間が経って濃くなった紅茶にクリームのコクが加わり、深みのある味に。濃い味が苦手な方に配慮して、「さし湯」ならぬ「さしミルク」のサービスもあります。
◆紅茶づくしのデザートプレート
1枚のプレートに美しく盛り合わせられたデザートは3種類。チョコレートケーキ、グラスデザート、フルーツとクリームのミルフィーユで、いずれにも紅茶が使われています。
チョコレートケーキは、生チョコのような濃厚な味わい。表面には店名である Gclef を意味するト音記号がデザインされています。生地にはアールグレイの茶葉そのものが混ぜ込まれ、鮮烈な紅茶の香りと、サリッとした食感のアクセントが楽しめます。
グラスデザートはダージリンのグラニテとゼリー。夏摘みのダージリンが使用され、その特徴であるマスカットのような芳香“マスカテル”が存分に楽しめます。ひんやりシャリっとしたグラニテと、ぷるんとやわらかいゼリーの食感のコントラストが楽しい、フルーティで爽やかな一品です。
見た目にも華やかなミルフィーユは、パリッサクッとしたパイ生地をベースに2層の味が展開されています。生のいちご・ベリーソース・マスカルポーネクリームによる甘酸っぱくさわやかな1層目と、ローストされたリンゴ・ヘーゼルナッツ・紅茶のカスタードクリームによる香ばしくコクのある2層目。どちらもなめらかなクリームとジューシーなフルーツの組み合わせですが、がらりと違った印象を見せてくれます。
■Gclef の人気の秘密にせまる!
お店の紅茶をテイスティングさせてもらいながら、店長の泓さんにインタビュー。専門店ならではの紅茶への思い入れやこだわりを聞き出すことができました!
◆10周年記念メニューって?
えん食べ:10周年記念メニューはどなたが考えられたのですか?
泓さん:「当店舗のパティシエが考えたものを、オーナーと一緒に試食しながらブラッシュアップして仕上げました」
えん食べ:メニューのコンセプトをお聞かせください。
泓さん:「『紅茶専門店ならではのデザートメニュー』です。3種類のデザートに各々違う紅茶を使っていて、いずれも当店のみで扱っている人気商品です」
えん食べ:プレートの中で、特に注目すべきところはどこですか?
泓さん:「チョコレートケーキに、茶葉そのものが入っているところでしょうか。隠し味としてではなく前面に出ている紅茶をぜひ味わってください」
◆本場のイギリス人も絶賛した紅茶って?
Gclef の紅茶はイギリスの食品品評会「great taste award」で、2013年に宮崎県産の春摘み「みなみさやか 杏花香」が、2014年にナホルハビ農園のアッサムの春摘みが賞を受賞しました。
えん食べ:受賞された2つの紅茶をご紹介いただけますか?
泓さん:「はい。宮崎県産のみなみさやかは、当店が宮崎県の農園の方と一緒になって開発しました。深めに発酵させたもので、果実のような香りが特徴です。」
えん食べ:生産から携わった国産の紅茶が、賞を受賞されたのですね。
泓さん:「海外で認められたことも嬉しかったのですが、それ以上に、みなみさやかを飲んだ当店のお客様が『こんな紅茶をつくってるんだね』と面白がってくださったり、感動したとおっしゃってくださったりしたことで、今後もいろんな紅茶を作っていきたいという意欲がわきました」
泓さん:「アッサムの方は、ビターかつ甘みがあり、キレのある味が特徴です。当店ではオーガニック意識の高い農園の茶葉を多く取り扱っていて、こちらもそのひとつナホルハビ農園のものとなっています」
◆Gclef は、紅茶界のサードウェーブ!
“サードウェーブ”といえば“シングルオリジン”。Gclef が“シングルオリジン”にこだわるその訳を教えてもらいました。
えん食べ:なぜ、Gclef では有名ブランドなどの紅茶ではなく、農園から直接買い付けた“シングルオリジン”を主として扱っているのですか?
泓さん:「ブランド紅茶は、ヨーロッパなどで水質の悪さをカバーするために様々な茶葉を混ぜたことから生まれたものです。もともと水質が紅茶に向いている日本では、混ぜる必要はありません。また、ブレンドしたもののブランド名などではなく、農園の名前をそのまま茶葉に冠することで、お客さんと紅茶の作り手の距離を近づけられたらと思っています」
◆どんな“サードウェーブ”が持ち帰れるの?
おウチでもおいしい紅茶が飲みたい!ということで、Gclef が扱っているお茶の種類やその違いを教わりました。
えん食べ:店頭には何種類くらいのお茶があるのでしょうか?
泓さん:「中国茶や台湾茶なども含め現在は60種類ほど置いていますが、旬に合わせて品ぞろえはどんどん入れ替わります」
えん食べ:いつ来ても旬の紅茶に出会えるのですね。ダージリンだけでも10種類もありますが…?
泓さん:「同じ時期・産地の紅茶でも、農園によって味が違ってきます。また同じ農園でも、栽培している木の種類によって味が違うので、別々の銘柄として扱っています」
◆紅茶のようじわじわ味わい深いお話、ありがとうございました!
開店10周年を迎えた Gclef。シングルオリジンの茶葉にこだわり続けるその訳は、紅茶を作る人と飲む人の距離を近づけたいという想いによるもの。ただ美味しいだけでなく、作っている人や農園まで透けて見えるような、澄んだ紅茶を提供しているお店でした。
Gclef には高円寺店のほか、行列の絶えない吉祥寺店、目白マダムに人気の茶葉販売専門店目白店があります。現在、吉祥寺店では「春一番のパフェ」を提供中。新鮮ないちごと旬の紅茶ニルギリを中心とした、12種類の味わいのハーモニーが味わえるパフェだそう。価格は紅茶とセットで1,850円。提供期間は4月24日まで。
