東南アジア料理に欠かせない香草、パクチー。独特の香りが苦手という人がいる一方、癖になるほど好きという人も少なくありません。そんなパクチーですが、苦手な人への配慮なのか、日本では料理に対して使われている量がどうも控えめ。一度でいいから「もうたくさん!」というほどのパクチーを味わってみたい、と全国のパクチーファンは渇望しているはず。

パクチー、足りてますか?
パクチー、足りてますか?

今回えん食べ編集部は、パクチー大盛りのベトナムサンドイッチが食べられるお店が高田馬場にあるという情報を入手。ベトナムサンドイッチ専門店で、その名も「バインミー★サンドイッチ」(バインミーはベトナムサンドイッチの現地での呼び名)。ここのバインミーは、追加のパクチーがオーダーできるとか。また、同店ではバインミーだけでなく「もっちりぱん」という名のパンも評判との噂。「もっちりぱん」とは何なのか?パクチー欲は満たされるのか?全国のパクチー好き・パン好きに代わって、さっそくお店に向かいました!


■「バインミー★サンドイッチ」にやってきました
JR 高田馬場駅を出て徒歩1分、駐車場に面した細い通りにお店はあります。赤地に黄色で「バインミー★サンドイッチ」と書かれたテントが目印。店頭には、サンドイッチが作られるのを待ったり、その場で食べていくことができるベンチが設置されています。

店頭には、食べたり出来上がりを待ったりできるベンチがあります
店頭には、食べたり出来上がりを待ったりできるベンチがあります

ベンチの脇にバインミーのメニューがあり、お店の窓には「もっちりぱん」が陳列されています。ドアを開けるとすぐ食券機なので、何を買うか決めてから店内に入りましょう。

店頭のバインミーメニューの看板 大きな写真付きでイメージしやすい
店頭のバインミーメニューの看板 大きな写真付きでイメージしやすい

窓の向こうには、かごに入ったもっちりぱんが並んでいます
窓の向こうには、かごに入ったもっちりぱんが並んでいます

この日は14時半頃伺ったところ、10種類のもっちりぱんのうち4種類が売り切れ、その他も種類によっては残りわずかとなっていました。「もっちりぱん」の焼き上げは朝の1回だけなので、お目当てがある方は早めの時間に行く or 電話で取り置きをお願いすると安心かも。

お店のドアを開けると、左手に受付、正面に食券の販売機があります。食券の販売機にはバインミーともっちりぱんの他、バインミー用の追加トッピングや焼き菓子、ドリンクなどのボタンが。さっそくお目当ての「ベトナムハム&レバーペースト(レギュラーサイズ550円)」「パクチー大盛り(150円)」、店長さんオススメのもっちりぱん「かぼちゃあん&ココナッツクリームチーズ」と「塩豆さくらあん」を購入します。食券でパンを買うって、ちょっと新鮮です。

グリーンカレースープや期間限定メニューなどにも目を奪われる食券機
グリーンカレースープや期間限定メニューなどにも目を奪われる食券機

追加トッピングはパクチー以外にも色々
追加トッピングはパクチー以外にも色々

受付で食券と引き換えに番号札を受け取り、バインミーが出来上がるのを待ちましょう。

■バインミー、もっちりぱんを実食
◆バインミー(ベトナムハム&レバーペースト)
お店の一番人気メニューという「ベトナムハム&レバーペースト」。今回は持ち帰りのためパクチーとなますを別の袋に入れてもらったのですが、パクチー袋のこのボリューム…。

袋を開けてスーハーしたい
袋を開けてスーハーしたい

バインミーの包みを開くと、レバーペーストとベトナムハムが挟まれたパンがお目見え。

ハムの下にはたっぷりのレバーペースト
ハムの下にはたっぷりのレバーペースト

これになますとパクチーを自分でトッピングします!

まずはなますから
まずはなますから

ぱらぱら・・・
ぱらぱら・・・

ぱらぱらぱら・・・
ぱらぱらぱら・・・

こんもり もはや具がほとんど見えません
こんもり もはや具がほとんど見えません

追加パクチー、おそるべし。パクチー山盛りのサンドイッチが出来上がりました。山盛り過ぎてもはやパンを閉じることは不可能。パクチーは香りを辺り一面に振りまき、青々とした見た目とともに新鮮さを主張しています。

かぶりつくと鼻がパクチーに埋もれ、独特の香りだけでなく、葉が物理的に鼻孔をくすぐります。こんなの初めて。「これだけパクチーが多いと、パクチー好きでもさすがにキツいかも?」という懸念は杞憂に終わりました。新鮮なパクチーは、香りは強いものの苦みはほとんどなし。しかし口の中に広がる香りと爽やかさは、まさに求めていたパクチー感!濃厚なレバーペーストとの組み合わせがたまりません。他にも、粒コショウ入りのベトナムハムやさっぱりした酸味のなますなどの個性的な具がバランスよく配され、調和のとれたおいしさになっています。

コリコリした軟骨と、ピリッと辛い粒コショウ入りのベトナムハム
コリコリした軟骨と、ピリッと辛い粒コショウ入りのベトナムハム

パンはフランスパンのような見た目ですが、皮はパリッと薄く、中の生地はふんわりもっちり。丸かじりしやすく、またたっぷりの具と一緒でも食べやすくなっています。

◆もっちりぱん1:かぼちゃあん&ココナッツクリームチーズ
店長さんにおすすめを聞いて購入した2つのもっちりぱん。手の平が隠れるくらいのサイズの丸いパンです。

左:ココナッツかぼちゃチーズ 右:塩豆さくらあん
左:ココナッツかぼちゃチーズ 右:塩豆さくらあん

まずは「ココナッツかぼちゃチーズ」から。

表面にココナッツフレークがまぶされた「ココナッツかぼちゃチーズ」
表面にココナッツフレークがまぶされた「ココナッツかぼちゃチーズ」

生地は、まさにもっちり。噛むほどにほんのり甘みを感じます。表面にはココナッツフレークがまぶされ、もっちりしながらサクサクという不思議な歯ごたえ!中の濃厚なかぼちゃあんとクリームチーズも、もっちり生地によく合っています。

中には、かぼちゃあんとクリームチーズが
中には、かぼちゃあんとクリームチーズが

◆もっちりぱん2:塩豆さくらあん
こちらは一見シンプルな丸いパンですが、よく見ると生地表面に豆がうっすら透けています。

大福みたいな見た目の「塩豆さくらあん」
大福みたいな見た目の「塩豆さくらあん」

中にはキレイな桜色のあんと塩豆が
中にはキレイな桜色のあんと塩豆が

中には口ざわりのいいなめらかな桜あんがたっぷり。あんに練り込まれた桜の葉と豆の塩味が、あんの甘さを引き立てています。もっちり生地との相性もばっちりで、和菓子ともあんパンとも違うもちもち&あんの組み合わせに、噛めば噛むほど惹き込まれます。

濃厚なあんと目のつまった生地のもっちりぱんは、見た目以上のボリューム。しかしこのもっちりはどこかで食べたような。そう、「もっちりぱん」の生地は、ベーグルにそっくりなのです。果たして…?

■「バインミー★サンドイッチ」ってどんなお店?
店長の木坂さんに、気になることを質問してきました!

◆どうしてバインミーのお店を開くことにしたの?
えん食べ:バインミーとの出会いと、なぜお店を開くことにしたのかを教えてください。

木坂さん:「バインミーとはカナダに留学した時に出会いました。ベトナム移民が多く、パン文化でサンドイッチが好まれるカナダにはバインミーの専門店がたくさんあり、私も週に3回は食べるくらいハマっていました。でも、日本に帰国してベトナム料理店で食べてみたら、パンが現地とは全然違って…。これは自分で作るしかないなと」

えん食べ:日本のフランスパンとバインミーのパンは違うんですか?

木坂さん:「はい。バインミーのパンは、製法、粉、水などが日本のフランスパンとは違っています。薄皮で、パリッとモチっとしているのが特徴です」

えん食べ:留学中に食べたバインミーのパンを再現したい気持ちがお店を開くきっかけになったと。

木坂さん:「それに加えて、お店を始める前、ニューヨークでバインミーが流行っていたんです。ニューヨークで流行ったものは日本でも絶対流行る!と考えての部分もあります(笑)」

◆バインミーともっちりぱん、雰囲気の異なる2種類のパンを置いているのはなぜ?
えん食べ:もっちりぱんはベーグルに似ている気がしますが…?

木坂さん:「その通り、もっちりぱんはベーグル生地でできています。もともと私は国内のベーグル店で修業をしていて、自分でもベーグル店を開くのが夢でした。カナダに留学したのも、そこで英語を学んでからニューヨークに渡ってベーグルの修業をするためだったんです」

えん食べ:ベーグルのための留学で、バインミーに出会ったのですね。

木坂さん:「そうなんです。バインミーを広めたい気持ちから開店を決めましたが、やはりベーグルも好きですし、技術も生かしたくて一緒に作ることにしました」

えん食べ:でも、なぜ「ベーグル」ではなく「もっちりぱん」という名前にしたんですか?

木坂さん:「『バインミー』と『ベーグル』を並べてしまうと、知名度の低いバインミーの名前がかすんでしまうと思ったんです。だから、実際にはベーグルなんですけど、『もっちりぱん』という名前で売り出しました」

えん食べ:なるほど!バインミーを目立たせるためにベーグルを「もっちりぱん」と名付けたんですね。もっちりぱんもオープン当時から販売されていたんですか?

木坂さん:「はい。はじめから、自分のやりたいことを両方やるお店としてスタートさせました」

◆木坂さん、お忙しい中ありがとうございました!

ドアに貼られた、かわいいイラスト入りの営業時間案内
ドアに貼られた、かわいいイラスト入りの営業時間案内

噂通りのパクチー大盛りバインミーでパクチー不足は解消、大満足です。しかし、ここに新たな「バインミー欲」が誕生してしまいました。ベトナム料理とも、一般的なサンドイッチとも違うバインミー。一度食べてこのおいしさの虜となった人たちが、今日も高田馬場の「バインミー★サンドイッチ」に吸い寄せられていくのでしょう。