福岡県と長崎県にはさまれた佐賀県。つい両隣に目がいってしまい、“佐賀グルメ”って何があったっけ…と、ぼんやりしたイメージで留まってしまいがち。筆者もその1人でした。しかし以前、取材で「シシリアンライス」や「ミンチ天」といった“佐賀グルメ”と出会い、佐賀に興味を持つようになりました。

そんな1月、佐賀県産食材を使ったフェアが都内でスタートしました。佐賀牛はもちろん、肥前さくらポークや有明海の海苔、ムツゴロウなどを使ったオリジナルメニューが期間限定で提供されています。…ちょっと待って、「ムツゴロウ」!? もちろん人間ではなく、あの干潟でぴょんぴょん跳ねているヤツですよね?それを食べられるなんて何という貴重なチャンス!


さっそく未体験のムツゴロウを食べに、原宿の中華料理店へ行ってきました。別途開催中のフェアで提供されている“カフェごはん”もレポートします!

ドキドキ…ムツゴロウってどんな味?
ドキドキ…ムツゴロウってどんな味?

◆ 中華料理店でムツゴロウを食べる

中華料理店「南国酒家」では、“地産国消”がテーマの企画「おいしいもの にっぽん」の佐賀県版「おいしいもの 佐賀」が開催されています。メニューは全8品のコース。ここでムツゴロウが提供されています。

ムツゴロウは、1皿目の盛り合わせに登場しました。パッとお皿を眺めただけでは全く分からないのですが、黒くて細長いカタマリが「ムツゴロウの甘草のにこごり」です。食べてみると、骨がたくさんあって身は少なめ。小さなイワシの甘露煮を食べているような感覚です。とにかく固い骨が多く、味付けも濃いため、残念ながら“ムツゴロウの味”はよく分かりませんでした。

右奥の黒いカタマリがムツゴロウ
右奥の黒いカタマリがムツゴロウ

県庁の職員(もちろん佐賀県民)は、「(佐賀県の人は)日常的には食べませんよ」と苦笑い。有明海近くの店では刺身で提供されていますが、注文するのは観光客がほとんどなのだとか。一部のスーパーでは、素焼きのムツゴロウが販売されていたりもするそうです。ムツゴロウの味を知るためには、やはり佐賀県へ行って刺身を食べてみる必要がありそうです。

流通量は多くないそうなので、県外で食べられるのは貴重な機会といえそう。ちょっと小骨が多くて食べにくいですがクセなどはないので、気になる人は試してみて。

このほか同コースでは、佐賀牛と福頭(600~700g ほどある大きなサトイモ)のソテーや、玄界灘産アオリイカと諸富町産ホワイトアスパラガスなどをあわせた炒め物、ユニークな「ひげにんにく」の天ぷらが添えられた玄界灘産ウスバハギのソテー、点心3種盛りなどが楽しめます。

肉も魚も野菜も“佐賀県産”たっぷり!
肉も魚も野菜も“佐賀県産”たっぷり!

もちろんどれもおいしいのですが、筆者のオススメは、点心3種盛りの1種「干し柿と肥前さくらポークの巻揚げ 武雄市産黒にんにくと黒酢のソース」。干し柿の濃厚な甘みと黒にんにくならではの香りが、豚肉やサクサクの衣と絶妙なバランスで成り立っているのです。単品で用意してくれたら嬉しいのに…とうなってしまった一品です。

手前がオススメの“揚げ点心”
手前がオススメの“揚げ点心”

「おいしいもの 佐賀」は7,500円(税別)、3月16日まで。開催店舗は、原宿店(本館・迎賓館)、町田店、飯田橋店。予約した方が良いそうです(2名以上)。

◆ 肉も魚もおいしい“カフェごはん”

都内のカフェ3店舗では、「ごちそう佐賀フェア~SAGA Cafe 2015~」が2月14日まで開催されています。2回目となる今年は、店舗ごとの限定ランチメニュー、ディナーメニューに加え、店舗共通のスイーツとお酒が用意されています。

インパクト No.1メニューは「ふもと赤鶏のグリル 柚子胡椒風味のタルタルソース 黒ニンニクバンズ」(1,200円/パームスカフェ自由が丘)。ガーリックトーストでサンドしたバーガーのような印象で、バンズには黒ニンニクのペーストが練りこんであります。とはいえ、黒ニンニクなので臭みは控えめ。鶏肉との相性の良さは言うまでもありません。

バンズの黒色は黒にんにくの色。ビールが飲みたくなる…
バンズの黒色は黒にんにくの色。ビールが飲みたくなる…

このほかの提供メニューと店舗は次の通り。

【パームスカフェ自由が丘(目黒区)】
ランチ「ふもと赤鶏のグリル 柚子胡椒風味のタルタルソース 黒ニンニクバンズ」(1,200円)
ディナー「ふもと赤鶏のドラムスティックとレンコンのフリット」(900円)

【碑文谷テラス(目黒区)】
ランチ「玄界灘の天然鮮魚のポワレ 佐賀県産アスパラガスのソース」(1,700円)
ディナー「佐賀県産 玄界灘直送鮮魚の盛り合わせ」(1,500円~)

【用賀倶楽部(世田谷区)】
ランチ「肥前さくらポークのローズソルト岩塩焼き 茄子のグラタンとアスパラガス添え」(1,200円)
ディナー「玄界灘より直送のアラカブとくま海老の豆乳スープ仕立て」(1,500円~)。

豪快にアラカブ(カサゴ)の頭が盛り付けられた、用賀倶楽部のディナーメニュー
豪快にアラカブ(カサゴ)の頭が盛り付けられた、用賀倶楽部のディナーメニュー

店舗共通メニューも用意されています。

「さがほのか苺豆乳プリン」(540円)は、佐賀県にある名店「川島豆腐店」の豆乳を使っているそう。スイーツというよりも、そのまま豆乳を“食べて”いるみたいに濃厚な大豆の香り。口に入れた瞬間、「お?」と手が止まってしまいました。また「和モヒート レモン添え」(500円)は、“日本酒+青じそ+レモン”という不思議なカクテル。ミントのかわりに青じそが入っているイメージなのですが、“和”テイストまんさいに仕上がっています。

たっぷり入ったレモンの香りも楽しんで
たっぷり入ったレモンの香りも楽しんで

なお、ディナータイムに来店した人には、県の“日本酒で乾杯する”条例にちなんで、全店舗で乾杯用の日本酒1杯がサービスされます。提供されるお酒は、古伊万里酒造の「前(さき) 純米酒」。地元の人は、そのラベルデザインにちなんで「ベロリ」と呼ぶのだそうです。お酒が飲めない人は、佐賀県産有機みかん100%の「佐藤農場の有機みかんジュース」をどうぞ。

「ベロリ」って読める?
「ベロリ」って読める?

豊かな自然を有する佐賀県には、おいしい食材がたくさんあるようです。実は、玉ねぎ、アスパラ、レンコンなどは国内の収穫量ランキング上位の常連なのだとか。意識してみるとあちこちで“佐賀県産”を見つけられそうです。でもやっぱり、何となく影が薄い気がする佐賀県。今度は佐賀県へ行って、現地で“佐賀グルメ”を食べてみることにします。