ビールの「香り」に、新たな力が見つかりました!

味香り戦略研究所が発表した、市販ビールメーカー各社の売れ筋ビール4種(「スーパードライ」「一番搾り」「プレミアムモルツ」「黒ラベル」)を対象に、香り判定のプロである同社所属の官能検査員10名と、日常的にビールを飲用する一般男女120名に実施した「ビールの香り」についての調査結果によると、ビールの香りには人をリラックスさせる効果があることがわかったそうです。


また、「各銘柄の香り高さの違い(香りの強弱)」「総合的な香りの好み」などについても調査しており、面白い結果が出ています。順番に見ていきましょう!

●はじめに、「ビールの香り」検査方法は?

ビールメーカー各社の売れ筋ビール4種類(スーパードライ、一番搾り、プレミアムモルツ、黒ラベル)を、ブラインド形式で硬質プラカップに用意し、嗅覚で感じた「香りレベル」を口に含む前後で(後では、飲み込まずに判定後、別カップに吐き出す)全6項目(「口に含む前の華やかな香り」、「口に含む前のフルーティな香り」、「口に含む前の鼻通りの良い香り」、「口に含んだ後の華やかな香り」、「口に含んだ後のフルーティな香り」、「口に含んだ後の芳ばしい香り」)を質問。各項目1位から4位まで順位付けをしてもらったそうです。

●“香り判定のプロ”、その半数以上が「プレモル」を評価

官能検査員に対する検査では、前記の6項目中、「口に含んだ後の芳ばしい香り」において「一番搾り」が1位となり、「華やかな香り」など5項目については、「プレミアムモルツ」が最も支持を集めたそうです。

「ビールの香り」に関する官能試験/官能検査員の検査結果(香り高さの違い)
「ビールの香り」に関する官能試験/官能検査員の検査結果(香り高さの違い)



香りの総合評価(香りの好み)に関しては、「プレミアムモルツ」が6票と最多で、「黒ラベル」が2票、「スーパードライ」「一番搾り」は1票という結果になっています。

●一般モニターも香りの違いに敏感

一般モニターへの検査では、香りの強弱について“口に含む前の鼻通りの良い香り”、“口に含んだ後の芳ばしい香り”の2項目については「黒ラベル」が1位となり、その他の4項目については「プレミアムモルツ」が1位となっています。

「ビールの香り」に関する官能試験/一般モニターの検査結果(香り高さの違い)
「ビールの香り」に関する官能試験/一般モニターの検査結果(香り高さの違い)



香りの総合評価に関しては、官能検査員の結果同様「プレミアムモルツ」が最も多く、44票を得る結果。2位は「一番搾り」で34票、「黒ラベル」が25票、「スーパードライ」は17票という順位になったそうです。官能検査員の結果と比較すると、若干の違いはあるものの、概ね「プレミアムモルツ」が高い評価を得る結果となっています。

●ビールの香りに「リラックス効果」

官能検査とともに、香りの感覚をつかさどる脳に与える影響について調べるため、脳波測定も実施。20~40代の一般男女8名を対象に、官能検査と同一のビール4種と無臭対象として蒸留水を加えた全5種について、鼻前に設置し、匂いを嗅いだ時の脳波を測定したそうです。

検査では、リラクセーションの生理学的指標としてα波を用いており、銘柄によって特徴的な傾向が見られる結果となっています。これによると、「スーパードライ」「プレミアムモルツ」の値が高く、特にα波が最も豊富に出現する O2(右後頭部)については、「プレミアムモルツ」が最も高い値を示したとのことです。

脳波測定検査結果/αパワー値の比較(n=6)
脳波測定検査結果/αパワー値の比較(n=6)

脳波測定検査結果/αパワー値の比較(n=6)


この結果に対し、「香り」に着目した脳科学のスペシャリスト、古賀良彦教授は、「このα波は、神経生理学的には脳の活動が適度に抑制され、円滑に働いていることを示す。つまり、脳が穏やかに活動していることを表している。α波が多量に出現し、脳が穏やかに活動している場合には、心理的には鎮静ないしリラックスした状態が得られる」と解説。

「上記2帯域のα波は、神経生理学的にはどれぐらいリラックス状態にあるかという客観的な指標と考えられており、『プレミアムモルツ』が、後頭部で高いα波パワー値を示したことは、この香りが他の4種類の試料と比較し、リラクセーション効果が高いことを生理学的に示唆するもの」と分析しています。

プレミアムモルツ、恐るべしですね!今晩の一杯は、いつもより香りを意識して飲んでみるのもいいかもしれませんよ!