ところで、もしも「星」を食べたらどんな味がすると思いますか?燃えさかる太陽は?私たちの住む地球は…??
「地球って食べたらこんな味がするのかな?」なんてロマンチックな妄想をふくらませながら楽しめるのが、2014年8月、横浜市磯子区にオープンしたベーカリー「星パン屋」さんの“星パン”。
ここでは「地球」をはじめ「太陽」や「木星」「ギャラクシー(銀河)」など、宇宙や星をテーマにした“唯一無二”のパンが毎日生まれては、お客さんの胃袋へと旅立って行くのだとか。
パンと宇宙。一見かけ離れているようにも思えるそのふたつが、どんなふうに繋がっているのかしら?気になったので、筆者も磯子までちょっぴり足を伸ばしてみました。
JR 根岸駅から徒歩7、8分。星パン屋さんは細い坂道を上がったところ、閑静な住宅街の中にありました。
“シナモンロール”のモチーフが中央にあしらわれた看板、ドアに配されたステンドグラス、ちょこんと置かれたテラス席。どれもこれも、おとぎ話の絵本に出てくるような可愛さで、まるで別世界にやって来たみたい!
実は星パン屋さん、もともとは店長である“ずんこ”さんが作った絵本「星パン職人の少女」から生まれたパン屋さんなんだそう。なるほど、確かにドアのステンドグラスにも“パンを焼く少女”がデザインされています!
ドアをくぐると「世界3大いい匂い」のひとつ(と私が認定している)焼き立てパンの香りにやさしく包まれ、思わずうっとり。広々とした店内を見回してみると、匂いの主(ぬし)は奥のショーケースの中にいました。
スタッフさんとの会話を楽しみながらパンを選んでいました
カウンターの向こうはパン工房になっていて、ここで焼き上げられたほっかほかの星パンたちが、ケースの中に続々と並べられていきます。
(販売されるパンは日によって変わるそうです)
買った星パンはテイクアウトしても、そのまま店内のテーブル席に座って食べても良いそう。筆者も待ちきれず、ここでいただくことにしました。
豊富なラインナップの中から、今回は「スーパーノヴァ」「ジュピター」「胡麻ダークマター」「火星ソーセージン」そして「地球パン」を購入。…名前を見ただけでは、それぞれどんなパンなのか想像もつきません!いったいどんな味がするのかしら?さっそく食べてみます!
● スーパーノヴァ(180円)
スーパーノヴァ(=超新星)とは、星がその一生を終えるときに起こす大きな爆発のこと。星パン屋さんの「スーパーノヴァ」は、渦巻きクッキーとザラメが星パンの上で“大爆発”したメロンパンです。
外側のクッキーの「さくさく」感&ザラメの「じゃくじゃく」感と、ふんわり柔らかな口当たりの生地、この食感のコントラストがたまりません!やさしいバターの香りと、ほんのりビターなココアフレーバー(クッキー)が混ざり合い、口の中でおいしさ爆発!
● ジュピター(180円)
ジュピターは、全粒粉の生地にたっぷりのココアクッキーとホワイトチョコを混ぜ込んで焼き上げられたパン。割ってみると、中のマーブル模様はまさに“木星”そのもの!
ジュピターの外側はパリッと香ばしく、中はしっとりもちもち。素朴で味わい深い全粒粉パンに映える甘さとほろ苦さが、噛むごとに口いっぱいに広がっていきます。
● 胡麻(ゴマ)ダークマター
広い広い宇宙は、その質量の大半を「ダークマター(=暗黒物質)」と呼ばれる“なんだかよくわからないモノ”によって占められていると言われています。そんなダークマターをイメージしたのがこれ!ヘルシーな太白ごま油を使い、黒ゴマをたっぷりと練り込んで焼き上げられた食パン、胡麻ダークマターです。
今回は、切ってトーストした胡麻ダークマターに粒あんをのせ、きなこで星座がデザインされた「星座あんトースト」(カフェメニューのみ、単品450円)を食べてみました。
生地をかじった瞬間、ふわりと広がるゴマの香ばしさ。ざくざくとした心地よいパンの歯ごたえに、しっとりとした粒あんがベストマッチ!あんこときなこのほっくりとした甘さが、まるで宇宙のように口いっぱいに広がります。ダークマター、名前に反してなんて優しい味だこと…!
● 火星ソーセージン(290円)
薄々感づいている人もいるかもしれません。そう、これは想像上の“火星人”がモチーフとなったウインナーパン。パンの片側から飛び出た「タコさん」ならぬ「火星人さん」の足がなんとも可愛らしい星パンです。
パリッと弾ける皮の中に閉じ込められた、ぷりっぷりのお肉とあふれ出すアツアツの肉汁。そしてこれを受け止める、ふわふわモチモチのパン。このおいしさは、焼きたてのパンに敵うものはこの世にない!とさえ思わせてくれるほど。
さらに粒マスタードとトッピングの黒コショウが、ピリッとスパイシーに味を引き締めています。なるほど、星パンは甘いだけじゃないんですね!
● 地球パン(180円)
ハード生地に、生クリームから作られた塩バターを合わせて焼いたコロンとまん丸のパン。海水の割合が多い地球を食べたらこんな味なのでは?というイマジネーションから生まれた星パンだそうです!
球体をほお張ると、パリッと軽い歯ごたえに続いて、芳醇なバターの香りがふわり。中はふわっふわで、噛めば噛むほどもっちりとした食感に。小麦の香ばしさと素朴な甘みがまろやかに広がる中、海水をイメージした塩味がしっかりと効いてきます。ああ、地球っておいしいんだな…!
ずーっとパンを食べているのに、それぞれ見た目も味も食感もまったく違うのでいっこうに飽きません。気付けば、あっという間にすべての星パンが私のコスモ(胃袋)へと旅立って行きました。
ひとつひとつ、ひと口ひと口に、こんなにも個性を感じるパンを食べたのは初めて!どの星パンも、まるで生きているようです。大切な我が子を育てるように心を込めて焼き上げる星パン屋さんの“パン愛”が、ひしひしと伝わってきました。
そしてふと、こんな言葉を思い出しました。「私たちはみんな、星のかけらで出来ている」――地球上の生き物や物質は、かつて星の爆発によって生まれた原子の集まりなんだとか。つまり人間もパンもみんな「星の子ども」ということ。すべては宇宙と繋がっているんですね。
おいしいパンを食べながら、つい宇宙へと想いを馳せてしまう星パン屋さん。ここは、私(筆者)史上もっともロマンチックでファンタジックなベーカリーでした。お店が会社の近くにあったら、毎日でも通うのに~!
実は星パン屋さん、エイプリルフールに「2号店を火星に出します!(ウソ)」と宣言してお客さんをざわつかせたそうなのですが、火星よりもぜひ東京都内に姉妹店をオープンしてほしいと個人的に切望しています…。
店舗所在地は、神奈川県横浜市磯子区下町11-18。営業日は火曜日~土曜日(火曜はカフェメニューのみ)。営業時間は10時30分~17時ですが、パンはなくなり次第終了となるそうです。どの星パンも、焼き上がりすぐから飛ぶように売れていたので、お目当ての“星”があるなら早めの時間に足を運ぶことをオススメします。
ちなみに近日発売予定の新作は、“宇宙の香り”がするというお茶「SPACE TEA(スペースティー)」を使った星パン「アポロ」だそう。また、毎月“満月の日”には限定の「月見パン」も販売されるそうです。んも~、どこまでもロマンチック。大好きだー!
※表記価格はすべて税別
住所:神奈川県横浜市磯子区下町11-18