静岡県の名産品のひとつ、わさび。美しい清流が育む一品だ。そんなわさびの産地、静岡・河津で食べられる行列グルメ「わさび丼」。“飯テロ”テレビドラマ「孤独のグルメ」にも登場し、以前にも増して有名となった。

ずっと食べたいと思っていたのだが、ようやく伊豆へ向かう機会を得た筆者。待望のわさび丼を食べてきた。


おろしたてわさびがクセになる!「わさび丼」を食べてきた
おろしたてわさびがクセになる!「わさび丼」を食べてきた

わさび丼を販売しているわさび園・かどやは、静岡県河津温泉郷にある。最寄駅の河津駅へは、伊東から伊豆急行に揺られること1時間弱。さらに河津駅からバスで30分ほどかけて、河津温泉郷にある河津七滝(かわづななだる)へ向かう。

河津七滝はその名のとおり、7つの滝が集まる観光名所だ。筆者はまず水垂(みずたれ)停留所でバスを降り、上から下って行くことにした。

最も上流にある釜滝のさらに上に、最近遊歩道が整備されたばかりの新スポット「猿田淵」がある。深さがあるのに水底が見えるくらい、透明な水が流れこんでいる。これが滝となってて下流へ向かい、わさびを育てる水となるのだ。

水底が見えるくらい澄んだ猿田淵
水底が見えるくらい澄んだ猿田淵

この透明な水が、わさびを育てるのか
この透明な水が、わさびを育てるのか

ここからわさび丼を目指してく下っていくのだが、その道のりは険しい。考えてみると、7つも滝があるのだ。標高もそれなりに高いため、何か所かでは非常に急な階段を下ることになる。

かなり角度がある
かなり角度がある

ユニークな形の橋も点在している
ユニークな形の橋も点在している

最上流の釜滝が最も落差が大きく、形がユニークなエビ滝、蛇滝と続く。4つめの初景滝まで来ると、下から平坦な道を通って来れるようになり、ベビーカーを押す家族連れなども目に入るようになる。ここには、滝を流れる水を飲める場所があるで、休憩がてら一口含んでみて欲しい。豊かな木々に囲まれて飲む清らかな水は格別だ。

近くには「伊豆の踊り子」の像もある、初景滝
近くには「伊豆の踊り子」の像もある、初景滝

さらにカニ滝を経て、6つめの出会滝がゴール。7つめの滝、大滝は現在遊歩道から見ることができないためだ。水垂から出会滝までの所要時間は約1時間。マイナスイオンをたっぷりチャージし、いざわさび丼を食べにかどやへ向かう。

…と、かどやの食堂前には行列が!時刻は、奇しくも12時頃。ちょうど昼食どきとかぶってしまったのだ。

やられた…
やられた…

仕方がないので並ぶことにする。筆者の前には7組ほどが待っており、1時間と少し待って入店できた。

店先では生わさびが販売されている
店先では生わさびが販売されている

メニューは、わさび丼のほか、そばや茶漬けもある。多くの人は、そばとわさび丼のセットを注文しているようだ。筆者は、わさび丼単品と、自家製だという「わさび焼酎」なるものをオーダー。店内に飾られている、孤独のグルメ関係のサイン色紙を眺めながら到着を待つ。

少しすると、わさびと“わさびおろし”が運ばれてきた。全部すりおろして待っていて下さいと言われるので、根元の方から円を描くようにすりおろしていく。

みずみずしい生わさびがツンと香る
みずみずしい生わさびがツンと香る

とは言うものの、初心者である筆者がすりおろすスピードなどたかが知れている。すりおろし終えるよりも先に、ご飯が運ばれてきた。鰹節がたっぷりとのったご飯の真ん中にわさびをのせ、わさびにかからないように醤油をかけて食べるよう説明される。

最終的に、このようなセットとなった
最終的に、このようなセットとなった

一生懸命すりおろしたわさびをのせ、がっとかきこむ。これはうますぎる!わさびと鰹節、しょうゆと白米だけなのに、うますぎる!生わさびは、ほのかに甘みがあり、後味にピリリと刺激がある。ただ辛いだけでないというのは非常に困ったもので、クセとなり手が止まらなくなるのだ。時おり調子にのってわさびを一気に食べてしまい、むせそうになるが、それもまた一興。色々な意味で“涙が出るほど”うまい一品だ。こんなうまい食べ物を育んでくれた、河津の自然に感謝である。

もう一度言う、わさびと鰹節、しょうゆ、白米だけだ。それなのに、なぜこんなにうまいのか…!

“涙が出るほど”うまい
“涙が出るほど”うまい

なお、わさび焼酎もなかなか曲者だった。香りはわさび、飲んだ瞬間は焼酎。そして、後味にわさびのピリッとした辛さがやってくる。飲み終えたときには爽快な気分を感じられるはずだ。

わさび漬など、付け合わせも十分に堪能し、店を後にする。まだ口の中が辛いものの、幸福感に包まれていた。

退店時には行列が伸びていた
退店時には行列が伸びていた

なお、わさび丼は、かどや以外でも食べることができる。並ばずに入れる店も多いので、そちらで楽しむのもいいだろう。

◆ デザートには「わさびソフト」を食べるべき

マイナスイオンをたっぷりと浴び、涙が出るほどうまいわさび丼を堪能したら、デザートが食べたくなった。そこで、あちこちの売店で見かける「わさびソフトクリーム」を買ってみた。

見た目は淡い緑色。メロン味のようにも見える。しかしほのかにツンとしたわさびの香りを感じる。いざ食べてみると、口に入れた瞬間は通常のバニラ味と大きく変わらないように思ったのだが、後味にわさびが来た。あのピリッとした、ツンとした後味がわさびの個性を主張してくるのだ。正直うまい。驚くほどうまい。もしかすると、スイーツの甘ったるさが苦手な人ほどハマるかもしれない…。駐車場を利用していたライダーたちもファンのようで、初めて訪れた連れにすすめていた。

七滝観光センター前の売店で購入した
七滝観光センター前の売店で購入した

◆バスの待ち時間には、古民家カフェへ

もうひとつ、おまけ情報を。バスの待ち時間には、すぐ近くにある古民家カフェ「ひぐらし」をオススメする。険しい階段をのぼった竹林の中にたたずむ、情緒ある店だ。実際の古民家をコツコツと改築し、半分は店舗、半分は自宅として使用しているらしい。

この先に古民家を改装した店舗がある
この先に古民家を改装した店舗がある

食事メニュー、カフェメニューともに、手作り感があふれている。筆者がいただいたのは、ブラウニーとコーヒーのセット。自家製マーマレードが練りこまれたブラウニーは、ほろ苦さと酸味がほどよい。そして水がいいからだろうか、コーヒーがとてもおいしい。竹林に囲まれてゆったりとした時間が流れる、素敵なカフェだ。

手作りの竹マドラーは、購入できる
手作りの竹マドラーは、購入できる

ここで、バスの時間が来たため、河津を後にする。次回は、そば食べて温泉に入ろう。