大きな箱を開けると中にチーズの箱があった。箱には、「Pinza Blanc Okinawan Goat Cheeze」という文字と、まっ白い白山羊さんの親子の写真が載っている。
やっぱり白山羊さんだったのだ。
箱を開けると、白い紙にくるまれた、まんまるいチーズ。
紙をとると、ようやくチーズが出てきた。
ナイフを入れてみる。チーズはねっとりとナイフの刃につき、弾力があり、チーズの断面は豊かな薄クリーム色をしている。
試食してみる。
食べながら思い出す。これまでに出会った山羊さんたちを。伯母の家にいた山羊、近所の大きな農家にいた山羊、千葉の奥地の草むらにいた山羊。どれもこれも難しそうな顔をして、草を食んでいて、近づくと水平の平らな瞳で睨むが、それから、うれしそうに駆け寄ってきて、皮肉たっぷりに笑うのである。
そうなのだ。山羊はとっても複雑な動物なのだ。だから、山羊のチーズも複雑な味がする。簡単においしいといわせない、手ごわい味なのだ。だが、愛情をこめて、しっかり味わってあげると、深みのあるおいしさがこみ上げてくる。
山羊のチーズはまた食べたくなる、癖になるおいしさだった。
ちなみにお値段は、1個1,500円である。