なんと北海道では、カップ焼そばを作る際に切って捨てる「お湯」を、捨てずに飲むのだそうだ。
アンテナショップの店員さんは、このように話す。
「私は地元(北海道)ではカップ焼そばのお湯は捨てずに飲んでいたので、こっち(関東)に来てお湯を捨てなきゃいけないのが何だかもったいなくて」
“切ったお湯を捨てずに飲む” というのは、それほどまでに道民たちの生活に馴染んだ食べ方なのか。気になるので、筆者も試してみることにした。
■北海道からお届けします 「やきそば弁当」
筆者が買ったのは、マルちゃん「やきそば弁当」という北海道工場で作られているカップ焼そば。「弁当」というネーミングに、「ウチのカップ焼そばは、普通のカップ焼そばとなまら違うんだぜ」というこだわりが暗に感じられる。
それでは、説明書きに従って「やきそば弁当」を作ってみることにする。“お湯を飲む” とはいったいどういうことなのか、このあと明らかになる。
■「やきそば弁当」の作り方
まずはフタを定位置まで開け、中からかやくとソースを取り出す。...ん?もう一つあるが、これはいったい...?
かやくやソースと一緒に「中華スープ」のもとが入っているぞ!「もどし湯を注ぐ」と指示が書いてある!“お湯を飲む” という食べ方のからくりは、ここにあったようだ!
ということでネタバレしてしまったのだが、最後まで作ることにする。
続いて、中にかやくを入れてカップの内側の線まで熱湯を注ぎ、「めん」が柔らかくなるまで3分間待つ。その際、ソースをフタに乗せて温めるのが良いそうだ。
3分後、ついにお湯を切る時が来た。ここで切ったお湯を「中華スープ」のもとに注ぐという、いつもとは違う手順を踏むのだ。
カップに注いでスープを作り、余った分のお湯は捨てる。結局捨てるんかい!と思った方、勘違いしてはいけない。お湯をリサイクルしてスープに使うことで、無駄な水の消費が格段に減っているのだ。
最後に、やきそばに別添えのソースとふりかけをかけて混ぜれば「やきそば弁当」の完成だ。
■食べてみる
「やきそば」は、昔ながらのソースがきいた、素朴なカップ焼そばの味。キャベツと角切りの肉が入っている。
一方「中華スープ」は、コショウのきいた醤油ベースの味がする。なんだこれは、普通にうまいじゃないか。めんやかやくから出たエキスがお湯に浸透し、そのお湯を使ってスープを作ることで、さらに深い味わいになっている可能性もなくはない。これがあるだけで、ただの「カップ焼そば」が「やきそば弁当」へと変化を遂げる。カップ焼そばを食べてパサパサしがちな口の中を潤してくれるという利点もあるのだ。
ランチが一品増えるうえ、環境にやさしい北海道の「やきそば弁当」。いつも当たり前のように捨てていたお湯をスープに変えるというそのアイデア、でっかいどう。