世界の食料の3分の1は食べられることなく廃棄されているという。米国では廃棄される食料の量はさらに多く、その割合は食品全体のおよそ40%にも達するそうだ。

この問題を解決するため、米国高級スーパー「トレーダー・ジョーズ」の元社長である Dough Rauch 氏は、食用に問題のない、販売期限を少しだけ過ぎた食品を販売するスーパーを開設するプロジェクトを立ち上げた。米国の公共ラジオ局 NPR が伝えている。


米国の高級スーパー「トレーダー・ジョーズ」
米国の高級スーパー「トレーダー・ジョーズ」

同メディアが伝えたところによれば、Rauch 氏は2014年の初頭に米国マサチューセッツ州 ドーチェスターで新たなスーパー「Daily Table」をオープンするという。Daily Table では、他のスーパーなどで販売期限切れとなった商品が、驚くほど低価格で販売されるそうだ。Rauch 氏はこのプロジェクトについて次のように説明している。

「Daily Table は、低所得者層に対して安価な食品を届ける試みだ。無駄に廃棄される40%の食料の有効活用で、これの実現を目指す。≪中略≫ 商品は、販売期限切れのために小売店が販売を諦めたものが主になる。その他、食用にはまったく問題は無いが、見かけが悪かったり、旬の時期を過ぎたりといった理由で農業生産者が廃棄する農産物も含まれる。我々はこういったものを、低価格の食品として小売環境に持ち込む」

だが Daily Table の食品は、購入後どの程度持つのだろう。購入した時点では問題がなくても、その後すぐに傷んでしまうのではないだろうか?Rauch 氏は、品質が劣化するまでの日数は食品によって異なるため、これを消費者に理解してもらう必要があると述べる。

「パンであれば、冷蔵庫に入れておけば、販売期限後も数週間は持つだろう。牛乳であっても、数日は問題はない。だが率直に言って、何日持つかは、冷蔵庫の設定温度次第だ」

Rauch 氏は、Daily Table が食料廃棄問題に対する唯一の解決策というわけではないと述べる。もっと素晴らしいアイディアが、他にあるかもしれないからだ。だが、Daily Table は、問題解決の革新的なアプローチの1つであると考えているという。

店舗にはレストランも併設される予定だ。このレストランで提供される料理の食材にも、販売期限切れのものが活用される。Rauch 氏は次のように説明する。

「販売期限切れの食材を利用することで、ファストフード店と競合可能な価格で、料理を提供できる」

なお、米国における「販売期限(Sell By date)」とは、商品を店頭で販売できる最終日のことで、商品の品質が劣化する「消費期限(Expiration Date)」よりも前に設定されている。