日本一の大きさを誇る滋賀県の琵琶湖。豊かな自然やマリンスポーツのメッカとして知られる一方、ブラックバスやブルーギルなどの外来魚による生態系への被害に悩まされてきました。

フナなどの在来種を食い荒らし、「琵琶湖のギャング」と呼ばれるブラックバス。滋賀県は対策として、釣ったブラックバスの再放流を禁止するほか、琵琶湖湖畔にこんな看板を立てています。

「これらの外来魚(ブラックバスやブルーギル)はおいしい魚です。釣り上げたら持ち帰って食べましょう。」
 
琵琶湖湖畔に立つ看板
琵琶湖湖畔に立つ看板

え?ブラックバスっておいしいの?川や湖にいる淡水魚は、「泥臭い」「味気ない」イメージがあるけれど?そしてその調理方法は?

うーん、気になる!というわけで、実際に食べてきました。

訪れたのは、琵琶湖の自然や歴史を紹介する滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)。その中にあるレストラン「にほのうみ」では、雄大な琵琶湖を眺めながら、うどんやそば、定食などを楽しむことができます。
 
海のように雄大な琵琶湖
海のように雄大な琵琶湖

メニューには、ブラックバスの他、ナマズやゴリなど淡水魚の名前がずらり。調理方法も、天ぷらや佃煮、南蛮漬けと様々です。迷った末、1日限定20食の「バスバーガー」を選びました。ブラックバスがどんな姿になって現れるのか、ドキドキします。
 
淡水魚の名前が並ぶメニュー表
淡水魚の名前が並ぶメニュー表

 
しばらくして、バスバーガーが登場しました!こんがりと揚げられ、直径9センチほどのバンズ(丸パン)にはさまれたブラックバス。「琵琶湖のギャング」の変わり果てた姿に少し胸が痛みます。では、お味はいかがでしょうか?
 
「琵琶湖のギャング」がこんな姿に
「琵琶湖のギャング」がこんな姿に
 
恐る恐るかじってみると、ホロッと崩れやすい白身は、まるでキスやヒラメのような食感です。低脂肪であっさりしていますが、タルタルソースと組み合わせれば、満足度はバッチリ。かすかに臭みも感じられましたが、言われなければ気づかない程度で、普通のフィッシュバーガーと変わらない味わいです。意外にも、ブラックバスはおいしかった!
 
見た目は「フィッシュバーガー」そのもの
見た目は「フィッシュバーガー」そのもの
 
豊かな琵琶湖の生態系を荒らし、在来種を窮地に追いやるブラックバス。「害魚」とされる反面、食べてみれば、さっぱりとしたおいしさをもつ、魅力的な魚でもありました。低脂肪で栄養価が高い点も、飲食業界に注目されているのだとか。
 
一方で、食材としての活用には課題もあるそうです。その1つは調理にかかる手間。今回訪れたにほのうみでも、特有の臭みを消すためにハーブに漬けるなど入念な下準備をしているとのこと。その手間を考えると、ブラックバスはむしろ「高級食材」なのかもしれません。
 
実は高級食材?
実は高級食材?
 
調理に手間はかかっても、需要が増えれば食材としての利用が進みそうな「害魚」ブラックバス。今夏は琵琶湖周辺を観光して、バスバーガーやバス天丼などのブラックバス料理を堪能してはいかが?「普通においしい」その味に、「泥臭い」「味気ない」という淡水魚のイメージを覆されるかもしれません。おいしく食べて、外来魚の駆除に貢献できるのなら、「一石二鳥」ですね!