独特の香りと食感がおいしい「パプリカ」。色は鮮やかな赤や黄が思い浮かぶが、その名の発祥の地でもあるハンガリーでは、クリーム色の品種もポピュラー。東京・神宮前の「AZ Finom(アズフィノム)」で味わえる。
AZ Finom(アズフィノム)
アズフィノムの立地は東京の明治神宮と代々木公園のあいだ、地下鉄明治神宮前(原宿)駅または外苑駅から少し歩いたところ。住宅とレストラン、カフェがいりまじる街並みのただなか、小さなビルの地下1階にある。
入り口はこじまりしているが店内は広々。どこか古風な、しかし肩肘はらず食事が楽しめる雰囲気だ。ランチはサラダと紅茶つきで900円~1,000円(税込、以下同じ)だが、好みでスープやデザートを付けて豪華にできる。今回は「全部載せ」のつもりで、ぎりぎり目いっぱいおまけをつけたので2,100円。
ここのハンガリー料理の特徴はパプリカをふんだんに使うところ。わけても目を引くのは珍しいクリーム色の品種だ。パプリカで有名な山形県は遊佐町の農家と契約して作ってもらっていて、日本では広く流通はしておらず、ほかではハンガリー大使館の料理で出るぐらいだとか。
ほかにもトウガラシのように辛いパプリカや、料理をあざやかに色づけるパプリカパウダーなどをサラダからスープ、メインディッシュにいたるまで惜しみなく用いている。
生野菜?つけもの?不思議なサラダ
サラダは甘酸っぱい刻みキャベツ。生野菜のようなフレッシュさと、おつけもののような風味とがどちらも味わえる。
和食で言うと酢のものやなますのようでもあるが、しゃきしゃきして固め。酸味と甘味はたっぷりの漬け汁からするが、野菜そのものには沁みすぎていない。
さっそく輪切りにしたクリーム色のパプリカが載っていて、食べるとさわやかな香りと歯ごたえが楽しめる。苦味や辛味はなく、サラダのいろどりとしてはぴったり。甘酸っぱいキャベツと一緒に食べても負けず、よいアクセントになっている。
牛肉どっさり「グヤーシュ」
続いてのスープはハンガリー伝統の「グヤーシュ」。パプリカパウダーで赤く色づいている。
最初はさっぱりした料理かと思いきや、スプーンを入れてすくってみると小さくカットした牛肉がごろごろ。肉の香り、うまみが濃厚。ジャガイモとニンジンもやはり細かくカットしてあるが、いくらすくってもなくならない量がある。初めは深皿に入っていて気づかなかったが、全体になかなかのボリュームだ。
器のふちには、また輪切りにした生のパプリカがある。ただし今度は緑色。かじってみるとピリ辛だ。トウガラシとシシトウの中間ぐらいで、こくのあるスープと一緒に味わうとスパイスがわりになる。
住所:東京都渋谷区神宮前2-19-5