アール座読書館
高円寺駅から徒歩5分ほどの場所にひっそりと構える「アール座読書館」をご存知だろうか。“静寂を楽しむための空間”を提供するため、店内でのお喋りは禁止という一風変わったカフェだ。狭い階段を上っていくと、覗き穴のついたドアが。張り紙を読んでみると
『店内は静寂を楽しむ空間となっておりますため、他のお客様がいらっしゃる時は声高なお話、小声でも長いお話はお控えください。大変恐縮ですが、お話目的の方はご遠慮ください』
とのこと。入るのにちょっと緊張するな。
そーっとドアを開けると、まるで屋根裏部屋に忍び込んだかのような秘密基地的空間が。聞こえるのは水槽の水の音、お茶を入れる音、本のページをめくる音、ペンが走る音くらい。図書館の自習室より静かだ…。
平日のお昼過ぎに向かったが、店内はほぼ満席。丁度一番奥の左端に落ち着けそうな席があったため腰掛けた。目の前には水槽。ほぼ独り分のスペースしかない。お世辞にもすわり心地が良いとは言いにくい椅子だが、隅っこや狭いスペースが好きな人は落ち着く空間だ。
お手紙セット
メニューをぱらぱらめくっていると「お手紙セット(税込1,000円)」という珍しいセットを発見。好きなドリンクにレターセットと切手、さらにつけペンセット、シーリングセットの一式のレンタルとポスト投函サービスがついてくるという。さっそく店主に小声で注文。ドリンクはプーアル茶にしてみた。ドリンクが届くのを待つ間、店内の様子を見て回ることに。歩くたび軋む床の音も目立つため、一歩踏み出すのにも少々気を使う。洒落た小物やレトロな雑貨、年季の入った様々なジャンルの本など興味を惹かれるものがずらりと並んでいた。
座席に戻るとプーアル茶が到着。同時に、レターセットと切手を選ぶよう伝えられたので店の奥のショーウィンドウの中から好みのものをセレクトした。
狭いテーブルで、説明書を読みながらつけペンの準備をする。お馴染みの羽ペンに繊細なガラスペン、香り付きのインク、シーリングスタンプと、手紙を書くための道具は全て揃っている。
説明書はついているものの、慣れていない人はペンの準備やの書き心地に慣れるまで少々時間がかかりそう(おまけにあまり音がたてられないのでかなり緊張する)。
いただいたプーアル茶は、お代わり用のお湯がはいったボトル付きのためかなりの量が楽しめる。美しい水槽を眺めながらぼんやりとお茶を飲んでいると、すっと肩の力が抜けていくような気がした。
また、引き出しの中にある小さな手帳やメモ帳にはこれまでやってきたお客のコメントがびっしりと綴られている。顔も知らない相手の心の動きを目で追っていくのもなかなかに興味深いので、これらを読み返してみるのもおすすめだ。
慌しい日々の生活を忘れ、自分の時間を取り戻したい人におすすめな「アール座読書館」。こちらはお喋りNGだが、3階の「エセルの中庭」では会話OK。3階でもスイーツやドリンクが楽しめるそうなので近々ご紹介する予定だ。
■ アール座読書館
住所:東京都杉並区高円寺南3-57-6
住所:東京都杉並区高円寺南3-57-6